東日本大震災の被災地の農家が直面する復興への暗い影。今、二重ローンの問題が被災地農家の頭を悩ませています。宮城・亘理町で、イチゴの生産を行う浅川一雄さん(62)。浅川さんは「これ、イチゴのね、苗を入れるトレーなんだよね。みんなバラバラになって。ここの分は収穫最中だったの」と話した。ちょうど収穫の時期を迎えていたイチゴのビニールハウス6棟が、津波で全滅した。収入の道を断たれた浅川さんには、設備投資などで借り入れた1,000万円近いローンが残された。幸いにして自宅は大きな被害を受けず、家族も無事だった浅川さん。しかし、震災から3カ月が経過し、貯金で食いつなぐ生活にも限界を感じた浅川さんは、収入の道を得ようと、仲間4人と共同でイチゴ生産の再開を決意した。だが、苗の植え付けのため、土やトレーなどを農協から新たにローンで購入せざるを得ず、浅川さんは今、二重ローンの問題で頭を悩ませている。浅川さんは「生活費、日々の収入、3月の震災以降ありませんので、なんとか細々食いつないでるんですけれども、この資材については、何とか融資で乗り切りたいというふうに考えています」と話した。クリスマスまでには仙台イチゴを出荷したいという浅川さん。震災前の状態に戻すには、およそ2,700万円かかるといい、復興へは二重ローン問題が重くのしかかっている。浅川さんは「ぜひとも、長期で無利子という形を心の底からお願いしたいと思います」と話した。