アメリカの金融大手リーマン・ブラザーズの破たんから、9月で2年が経過しました。およそ6,000億ドル(日本円で50兆円)規模の巨額な負債を抱えるリーマンは、美術品をオークションにかけ、返済金の一部に充てています。破たん前は、関係者だけが目にすることのできたリーマンのアートコレクション。それが今、オークション会場で注目されている。2008年9月15日、リーマン・ブラザーズは、史上最大規模の破産を申請した。それにともなう債権者への返済額は、ヨーロッパだけでも5,000億ドル(およそ42兆円)。これを少しでも減らすため、リーマンは2010年9月末、これまで収集してきた美術品を、ニューヨークとロンドンでオークションに出品した。その中には、奈良美智(よしとも)氏やゲイリー・ヒューム氏など、世界的に有名な芸術家による作品のほか、ロンドンオフィス開設に際し、当時財務相だったブラウン前首相の名前の刻まれた記念プレートや、ロンドンオフィスの金属看板も含まれ、落札額は、合計でおよそ12億3,700万円にのぼった。クリスティーズ社のウィリアム・ポーター氏は「美術コレクションは多種多様で、リーマンの歴史を表しています。そして入札者も、銀行マンや個人収集家など、さまざまです」と話した。リーマンはこれまでに、資産売却などで500億ドル(4兆円)以上を返済している。今回のオークション落札額をあわせても、全額返済への道のりはまだ遠いが、管財人は、オークションに出品すること自体に意味があると評価している。PwC会計事務所のバリー・ギルバートソン氏は「可能な限り返済金を集めるために、あらゆる手段を講じていると、債権者に訴えかけることができます」と話した。11月もオークションに出品する予定で、債権者へのメッセージを発信し続けるとともに、さらなる返済金も獲得したい考え。