第５７回全日本吹奏楽コンクール（全日本吹奏楽連盟、朝日新聞社主催）が２５日、東京都杉並区の普門館で開かれた。この日は高校の部で、初出場３校を含む２９校が出場、１０校が金賞に輝いた。　石川県立小松明峰が初出場で金賞の快挙を果たし、会場を沸かせた。音の扱いもひときわ丁寧に課題曲のマーチを奏で、リズムの締まった臨場感たっぷりのバルトークまで聴衆の集中を切らせなかった。　出場人数の上限が５０人から５５人に改定されたため、レパートリーの幅が広がり、ショスタコービチの「革命」のような大規模なクラシック作品に挑む学校も。埼玉県立伊奈学園総合はマーラーの交響曲第１番「巨人」のシンフォニックな響きを存分に表現し、喝采を浴びた。富山県立高岡商業も、雄大な立山山系を誇るかのようにＲ・シュトラウスの「アルプス交響曲」を堂々と奏でた。　多くの学校が課題曲に軽快なマーチを選んだなか、常連の大阪府立淀川工科の軽みに走らない余裕の歌心が光った。高知県立高知西や秋田県立秋田南は課題曲、自由曲とも本格的な現代曲を選び、独自の世界をつくり上げた。審査を務めた作曲家の西村朗さんは「どの学校も９０～９５点の仕上がり。選曲と細部の表現の繊細さが最後の勝負だった」と実力伯仲の演奏を振り返った。（吉田純子）　成績は次の通り。　【金賞】精華女子（福岡）、淀川工科（大阪）、大阪桐蔭（同）、片倉（東京）、駒沢大高（同）、磐城（福島）、習志野（千葉）、小松明峰（石川）、東海大四（北海道）、春日部共栄（埼玉）　【銀賞】天理（奈良）、光ケ丘女子（愛知）、安城学園（同）、愛工大名電（同）、埼玉栄（埼玉）、伊奈学園総合（同）、旭川商（北海道）、高岡商（富山）、湯本（福島）、鹿児島情報、横浜創英、修道（広島）　【銅賞】市立柏（千葉）、コザ（沖縄）、明誠学院（岡山）、おかやま山陽（同）、坂出（香川）、高知西、秋田南