シリーズ企画「きらめきJAPAN」。世界基準の経営感覚で伝統的観光業界を揺さぶる老舗旅館の4代目。世界の富裕層を日本に呼び込む、きらめきパッケージ戦略を追いました。京都・嵐山の川のほとりに、突如、現れる幽玄の世界。そこに旅館「星のや 京都」がある。「星野リゾート」の星野佳路社長(50)は、「日本の観光をヤバくする」というスローガンを掲げ、観光業界の最前線に立つ。星野社長は「(なんかこう別世界というか。不思議な気持ちになりますね、ここ歩いてますと)建物そのものは100年前に造られた」と話した。星野社長は、廃業していた老舗旅館を25億円かけて改修し、観光資源に新たな息吹を吹き込み、和のリゾート空間を作り上げた。星野社長は「(眺めもいいですね)こういう眺めはなかなかないです」と話した。団体客の受け入れが主流だった旅館。多様化する日本人の旅行スタイルの変化に、危機感を持った星野社長は、ターゲットを個人客に絞った。そして打ち出したのが「ラグジュアリー」。星野社長は「大体、1部屋1泊10万円と思っていただければいいと思うんですが」と話した。1泊10万円する最高ランクの特別室。「星のや」は、世界の個性的な高級ホテルを集めたホテルブランド「SLH」に、旅館でありながら日本で初めて加盟した。星野社長は「わたしたち旅館も変わらなくちゃいけないんですよ」と話した。星野社長は、100年以上続く老舗旅館の4代目として生まれながら、アメリカの大学院でホテル経営を学んだ異端児。観光業界がバブル崩壊で壊滅的な打撃を受けていたさなか、31歳で跡を継いだ。そして事態打開のため行ったのが、リゾート再生という攻め。経営難に陥っていた旅館やホテルの運営に乗り出し、次々と再生した。攻めの経営手法で、全国に21の個性的なリゾート施設を残した。全国を駆け回る星野社長が訪れたのは高知県。1年ほど前に運営を委ねられた、室戸岬にあるリゾートホテルの視察にやってきた。美しい朝焼けが見られるタイフーンテラス。台風の通り道として知られる室戸岬に、こんなものを作った。アクリル製の円柱に頭を出して、台風を見物するというアクティビティを設置した。星野社長は「来てみたいですね、暴風雨のときに」と話した。視察先で従業員を集めた星野社長。その目は、日本の観光の劇的な変化を見ていた。星野社長は「インバウンドがアウトバウンドを超えるというのは、もう確実で、おそらくそれは...