イエスに子があったという衝撃の設定がキリスト教徒の反発をかった「ダ・ヴィンチ・コード」（０６年）。その“続編”にあたる「天使と悪魔」の公開（１５日）に合わせ、主演トム・ハンクス、ロン・ハワードらが来日し、７日、東京都内で会見した。「物議を醸すことは覚悟の上」と口をそろえたが、原作で最もデリケートな部分はカットした…。（アサヒ・コム編集部）　「バチカンにとって、パブリック・エナミー（公共の敵）・ナンバー２みたいに挑んだ。様々な議論を引き出すことが、この映画の魅力だ」とハンクスは、やや挑発的に話す。脱獄常習犯を描いたフランス映画「パブリック・エナミー・ナンバー１」に引っかけて、半分冗談めいていたが。　欧州にある原子核研究所が、素粒子を光速に近い速度で衝突させて、現実世界と逆の電荷をもった「反物質」を作る。これを、カトリックに敵意を抱く秘密結社イルミナティが盗み、その高エネルギーを悪用してバチカンを爆破させようと企てる。　映画は「運命の一日」を描く。ローマ法王が既に死去し、新法王を選ぶ投票コンクラーベの日。イルミナティは有力枢機卿４人の殺害と反物質の爆発を予告する。急きょ、ローマに駆けつけた宗教象徴学者ロバート・ラングドン（ハンクス）はガリレオが小冊子の中で暗示した「啓示の道」を探り、イルミナティを追いつめる。それは、バロックの彫刻家ベルニーニによる土、空気、火、水の４大元素を象徴する彫刻のある教会だった。　誘拐された枢機卿４人をラングドンが救い出すまで、コンクラーベは延長される。「今回、ラングドンは法王の選挙にかかわるどころでなく、その先頭に立って冒険をする」（ハンクス）という暴れっぷりだ。■“危険”個所、どこへ？　ハワード監督は「始めからバチカンの協力は得られないと思っていた。ローマでのゲリラ撮影では、法律は破っていないが、許可も取っていない。撮影班、美術班、特撮班がそれぞれが撮ったものに、資料の写真を組み合わせた。だから、１００年前のサイレント映画からバリバリのＣＧの要素までが含まれている」。製作のブライアン・グレイザーは「『ダ・ヴィンチ～』で物議は経験済み。バチカンにしてみれば、『また、やつらが戻ってきた』という感じなのかな」。　と、威勢はよいが、原作小説で最も“危険”な個所は省いた。死去した前法王が過去に尼僧との間に子を作り、その禁断の子が前法王の侍従（ユア...