2010年、政治の混乱で多くの死傷者を出したタイで、3日、3年7カ月ぶりの総選挙が行われ、日本時間午後5時に投票が締め切られた。深夜には大勢が判明する見通しで、2006年に失脚したタクシン元首相の妹を首相候補とする「タイ貢献党」が優勢とみられている。日本時間午前10時に投票が開始されたタイの総選挙は、現職のアピシット首相が率いる与党民主党と、2006年のクーデターで失脚したタクシン元首相の妹、インラック氏を首相候補とする最大野党・タイ貢献党との間で、激しい選挙戦が繰り広げられてきた。急激に人気を集めているタクシン元首相の妹、インラック氏は、行く先々で多くの支持者が集まり、その人気ぶりをうかがい知ることができる。タイ貢献党のインラック首相候補は「まず、民主党が招いた経済危機を解決して、タイの経済を立て直したいです」と話した。インラック氏は経済改革を掲げ、タクシン元首相と同じく、低所得者が多く居住する北部や東北部で、絶大な支持を得ている。タイ貢献党支持者は「タクシン氏にタイに戻ってきてほしい。そうすれば、タイはもっと発展するわ」と話した。インラック氏が、タクシン元首相の政策を受け継ぐ構えを示したの対し、現職のアピシット首相は、「タクシン元首相の政治手法は金権主義」と批判し、ネガティブキャンペーンにかじを切った。アピシット首相は「タイ貢献党は、タクシン元首相の利益ばかり考え、国民のために活動していない」と述べた。それでも、各社世論調査の予想によると、インラック氏率いるタイ貢献党が民主党を大きくリードし、第1党に躍り出て、単独過半数獲得に迫る勢い。貢献党が第1党となれば、タイで初めての女性首相が誕生することになる。