原子力発電の安全強化策を話し合う、IAEA(国際原子力機関)の閣僚級会合が20日、オーストリアのウィーンで開幕し、IAEAの機能強化などを盛り込んだ閣僚声明が採択された。閣僚声明は、最高水準の安全性の実現を追求するとして、IAEAの機能強化や事故の際に派遣する緊急対応チームの創設などを求めた。安全基準の強化について、天野事務局長は、1年以内に見直し案を報告すると述べたが、どこまで強制力を持たせるかについては、各国間で意見のばらつきがあり、閣僚声明も具体的には触れなかった。IAEAの天野事務局長は、「すべての国が原子力の安全を強化したいということです」、「したがって、IAEAの加盟国から、必ずや支持を得られると信じています」と語った。海江田経産相は、事故収束への決意を表明したうえで、各国の安全規制当局の間の連携や、関連条約の強化などを提案した。また、海江田経産相は、原子力安全・保安院の経済産業省からの独立について、2012年にも実現させたいとの意向を示している。海江田経産相は「2012年というのは、1つのめどになろうかと思います」と述べた。日本としては、信頼回復へのさらなる一歩としたい会合だが、事故収束のめどが立たない中、安全に対する各国のスタンスの隔たりも大きく、基準強化への道のりは曲折が予想される。