アメリカ宇宙開発のシンボルともいえるスペースシャトルが引退するのを前に、現地では、早くも民間各社がシャトルの後継機開発を進めている。後継機の開発を待たずに引退するスペースシャトルは、最大7人の乗組員と、多くの物資を運べるのが特徴だった。今後、ISS(国際宇宙ステーション)との往復は、ロシアのソユーズに頼らざるを得ないのが現状となっている。そんな中、アメリカ政府は、民間企業に開発を託すことを決定した。最後のシャトル打ち上げを前に、ケネディ宇宙センターでは、後継機を開発中の民間企業がブースを出し、開発中の宇宙船などを展示している。現在、NASAが民間企業と共同で開発中の有人宇宙船「オリオン」は4人乗りで、シャトルより安全性が10倍高く設計されている。2013年には無人でのテスト飛行を予定していて、2020年までに宇宙飛行士を乗せ、小惑星や火星の探査を行うことを目指している。「オリオン」開発担当は「次世代の宇宙船として最新の科学技術と、これまでのシャトルのミッションから学んだことをすべて取り入れている」と話した。また、若田光一宇宙飛行士は「宇宙に行って行うマーケットはいろいろある。実験にしろ、観光にしろですね。ですから、より多くの人たちが宇宙に行ける時代になるために、民間主導での宇宙開発は重要なステップだと思いますし」と語った。安全性と費用対効果のバランスが常に議論の的となってきたスペースシャトルは、後継機見つからないまま、引退の日を迎える。