アメリカの財政赤字削減や政府債務の上限引き上げをめぐり、与野党の協議が難航していることを受け、オバマ大統領が野党・共和党に対して、あらためて妥協を求めた。ぎりぎりの交渉が続く中、オバマ大統領は会見で、「皆が妥協することで経済的な『ハルマゲドン』を避けなければならない」と強調し、自らも譲歩する用意があるとして、協力を求めた。オバマ大統領は「われわれには時間がない。わたしには、議会の計画に難しい決断を下す準備がある」と述べた。アメリカでは、政府の債務が法律で決められた上限に達したため、8月2日までに議会が上限の引き上げに同意しなければ、債務不履行という最悪の事態に陥る可能性が出ている。財政赤字削減の方法をめぐっては、オバマ大統領が大幅な歳出カットと同時に、富裕層や石油会社への減税の打ち切りを主張しているのに対し、共和党側は増税による財政赤字削減に反発しており、5日間連続で続けた協議は難航している。こうした状況を受け、国債の格付け機関は、アメリカ国債を格下げの方向で見直すと警告している。2012年の大統領選を視野に、交渉でも政治的駆け引きの様相が強まる中、政治を脇に置いて妥協点を見いだせるのかどうか、当面は厳しい交渉が続くことになるもよう。