ＪＲ東日本は２５日朝、東日本大震災の影響で運転を見合わせていた東北新幹線の福島―仙台の運転を再開した。当面は「はやて」と「やまびこ」が東京―仙台を１日４４往復し、最速２時間７分で結ぶ。震災から４５日ぶりに首都圏と東北中心部を結ぶ鉄道の大動脈が復旧し、復興へ向けた人の流れも本格的に動き出した。　東京―仙台はもともとビジネス利用が多く、この日もスーツ姿の乗客が目立った。　地震で床のタイルにひびが入り、補修作業中の場所も残る仙台駅。午前６時２分の東京行き上り一番列車を待っていた仙台市太白区の会社員林秀敏さん（５３）は、震災後初めて東京に行く。建築資材の卸業をしており、仮設住宅建設の打ち合わせのためという。「少しでも早く復興に近づけるように。新幹線があると便利です」と話す。　やはり仕事で東京に向かうという仙台市太白区の会社員阿部修さん（４８）は、震災後に東京―仙台を５往復した。「山形からの飛行機はなかなか予約がとれなかった。新幹線が再開して、ありがたいなとしみじみ思う」　東京駅でも、午前６時１２分の仙台行き下り一番列車に乗り込むビジネスマンの姿が目立った。東京都内の水産メーカーに勤務する興梠（こおろぎ）亮さん（２８）は、宮城県内の取引先を回るため、仙台へ向かう。震災前は週１回ほど新幹線で仙台へ出張していたが、震災後は見合わせていた。「被災して、しばらく連絡がとれない会社も多く本当に心配だった。ようやく現地の状況を見に行くことができます」と話した。　残る不通区間の仙台―一ノ関は２９日に復旧予定で、東京―新青森の全線で運転が再開する。（一色涼、宮嶋加菜子）