諫早湾の漁業者が干拓事業の排水門を開けて、調整池に海水を入れるよう求めた裁判で、長崎地裁は、原告の訴えを退ける判決を言い渡した。排水門の開門をめぐっては、福岡高裁が開門請求を認めていた。この裁判は、諫早湾の干拓事業による潮受堤防の閉め切りで漁業に被害が出ているとして、長崎県や佐賀県の漁業者41人が国に対し、排水門を開けて調整池に海水を入れるよう求めたもの。27日の判決で長崎地裁は、干拓事業について、「諫早湾のアサリ漁場の環境を悪化させたとは認められず、二枚貝のタイラギの漁獲量が減ったことへの因果関係も認められない」との判断を示した。また、高潮を防いだり農地としての効果があり、公共性があるとして、開門を求めた原告側の請求を退けた。馬奈木 昭雄弁護団長は「まったく、私どもが想定していなかった判決」と語った。一方で、コノシロなど魚類の漁場環境には影響が認められるとして、一部の漁業者に対し、総額およそ1億1,000万円を支払うよう、国に損害賠償を命じた。開門をめぐっては、2010年12月に福岡高裁が5年間の常時開門を命じる判決を出し、国が上告を断念していた。