停止中の原子力発電所の再稼働をめぐる混乱を受け、枝野官房長官は11日午前の記者会見で、EU(ヨーロッパ連合)の「ストレステスト」を参考にした日本独自の安全評価を実施したうえで、原発の稼働を判断する国の統一見解を発表した。枝野官房長官は「既存の原子力発電所の安全確認の枠組みに加え、新たな手続き、ルールに基づく安全評価を実施することといたします」と述べた。統一見解では、EUで実施されているストレステストを参考に、「新たな手続き、ルールに基づく安全評価を実施する」としたうえで、評価の実施を2段階で行う。九州電力玄海原発など、定期点検を終えた原発から順次、想定を上回る地震や津波にどの程度耐えられるかの「安全裕度」を調べる1次評価を実施し、運転再開を認めるかどうかを判断する。さらに2次評価として、再稼働した原発も含めて、すべての運転中の原発を対象にEUのストレス評価を参考にした総合的な安全評価を実施し、運転を継続させるか中止させるかを判断する。また、これまで原発の再稼働や運転継続を認めるかどうかの判断に加わっていなかった原子力安全委員会も、評価に参加することになった。この評価方法により、停止中の原発の運転再開については、EUに比べて短い期間で実施する1次評価の結果で判断できることになるとみられる。しかし、枝野長官は、結果を出す時期については明示せず、「できるだけ早い方が望ましい」と述べるにとどめ、電力不足に対する懸念は続くものとみられる。