１８日午後３時１０分ごろ、香川県多度津（たどつ）町の佐柳（さなぎ）島沖の瀬戸内海に、第６管区海上保安本部広島航空基地のヘリコプター「あきづる」（ベル式４１２ＥＰ型）が墜落した。６管は同島と隣の島を結ぶ送電線に接触したとみている。ヘリの乗員５人のうち４人が海底から引き揚げられたが、搬送先の病院でいずれも死亡が確認された。残る１人の捜索が続けられている。　ヘリの乗員で死亡が確認されたのは、機長の藤本雅士（まさひと）さん（４１）、副機長の高橋仁さん（３８）、通信士の松井光男さん（５５）、整備士の岡本保信（やすのぶ）さん（３９）＝いずれも広島県東広島市＝の４人。ほかに整備士の大嶽（おおだけ）智さん（５６）＝同市＝が行方不明となっている。　ヘリは同日午後１時４５分ごろ、定期パトロールのため広島空港（広島県三原市）を離陸。岡山県・水島沖から高松市沖を経由し、午後４時ごろに戻る予定だった。しかし午後３時すぎ、「ヘリコプターが送電線に当たり墜落した」との通報が６管に入り、事故が判明した。　その後、６管が現場付近の海域を捜索し、藤本さんら乗員４人と機体を水深約１１メートルの海底で見つけた。機体の左側の損傷が特に激しいという。機体は１９日午後に引き揚げる予定。　四国電力や６管などによると、ヘリが接触したとみられるのは、佐柳島と東に隣接する小島（おじま）を結んでいる送電線。直径約１．３センチで長さ約１．２キロあり、海面から最も低い所で高さ約５０メートルに張られていた。３本が並行しているが、いずれも切断されていた。　６管は事故原因について、通常は送電線付近のような低い高度で飛ぶことはないとしたうえで、「何かを確認しようとしたのではないか」と話している。出発の前後には機体を点検しており、１７日にもエンジンなどの大がかりな検査をしたが、異常はなかったという。　ヘリが墜落する瞬間は、佐柳島の島民や船の乗組員が目撃していた。目撃者の話によると、ヘリのテールローター（後部回転翼）付近が送電線に引っかかり、機体を回転させて海に落ちていったという。三洋汽船（岡山県笠岡市）のフェリーは墜落した場所から約１００メートル離れた海上を航行しており、乗組員らは「一瞬の出来事でびっくりした」などと証言している。　送電線が切断されたため、佐柳島など５島の計５７７世帯で停電したが、海底ケーブルで午後５時２０...