ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞（銀熊賞）を受賞した寺島しのぶさんに２７日、トロフィーが手渡された。寺島さんは大阪市内での舞台に出演中で、受賞作「キャタピラー」（８月１４日から各地で公開予定）の若松孝二監督が舞台上で手渡すと、約千人の観客が立ち上がり、歓声と拍手で祝福した。　寺島さんは「重いです。映画をつくったスタッフ、俳優、若松監督の情熱の証しです」と、トロフィーにキスをして喜びを語った。　トロフィーは、授賞式に出られなかった寺島さんの代わりに若松監督が受け取っていた。２７日午後、舞台「血は立ったまま眠っている」の終幕後に、若松監督と共演者の大西信満さんが登壇し、銀色の熊をかたどったトロフィーを寺島さんに手渡した。　寺島さんは「世界の若松監督、（出演舞台の演出家）蜷川（幸雄）さんに囲まれて、この一瞬を多くの皆さんと分かち合えたことが幸せです」と、涙を浮かべながらあいさつした。　寺島さんが演じたのは、戦場で四肢を失って帰還した兵士の妻。若松監督は「戦争はただの人殺し。正義もなにもない。夫が負傷してきた女性が苦労する姿が、世界に受け入れられたのだと思う」と語った。　また、トロフィーをなくさないように、機内でも手に抱えてきた大西さんは「ベルリンの空港の手荷物検査で引っかかるかなと心配だったが、箱の中身がトロフィーだとわかると、係員から『ブラボー』という声が起こった」とエピソードを紹介した。（長谷川千尋）