17日に発表された2010年ビール類のシェアで、アサヒビールが、わずかにキリンビールを上回って、2年ぶりに首位となったことがわかった。2008年はアサヒがトップ、2009年はキリンが返り咲きと、2社がし烈な首位争いを繰り広げている。2010年は、主力商品で新たな需要を開拓したアサヒが、わずか1年で首位の座に返り咲く結果となった。発泡酒や第3のビールを含めたビール類の2010年1年間の出荷量のシェアは、アサヒが37.5%、キリンが36.7%となり、アサヒが、きん差で首位となった。2009年は、割安な「第3のビール」に強いキリンが9年ぶりに首位を奪ったが、アサヒは2010年、主力の「スーパードライ」で新戦略を展開し、飲食店で氷点下の商品を提供するなど、若者を中心に新たな需要を掘り起こし、巻き返しに成功した。キリンも、主力ビールの「キリンラガー」をリニューアルしたものの、アサヒには及ばなかった。一方、ビール類の市場全体では、2010年の出荷量は前年に比べ、2.8%マイナスとなり、6年連続で過去最低を更新した。ビール類の統計に含まれないノンアルコールビールやハイボールなどの市場が急速に伸びており、各社は、2011年の出荷量も、さらに3%程度落ち込むと予測している。ビール類市場の縮小に歯止めがかかる兆しが見えない中、新たな戦略に知恵を競う各社のシェア争いは、今後ますますし烈さを増すことになるとみられる。