トヨタ自動車のスポーツモデルの新ブランド「Ｇ　ＳＰＯＲＴＳ」（通称「Ｇ’ｓ」＝ジーズ）。２１日、山梨・河口湖畔であった試乗会で、ブランド第一弾のヴォクシー「Ｇ’ｓ」に乗ってみると、これまでのミニバンでは味わえないシャープな走りが、そこにあった。　ファミリータイプのミニバンに乗っていると、ついつい忘れがちなのが、車を自在に操る楽しみだ。子供のため、家族のためとミニバンを選んだものの、独身時代に乗っていたセダンやクーペの感覚がどうしても忘れられない。トヨタがヴォクシーと兄弟車ノアのＧ’ｓで狙ったのも、こうしたミニバンには飽き足らなくなった顧客層だ。　最上位車のヴォクシーＧ’ｓ「ＥＤＧＥ」に乗ると、まず気づくのがドライビング・ポジションの低さ。車高は普通のヴォクシーを３０ｍｍ下回るが、実際に運転席に座ってみると、それ以上の低さを感じる。　また、ハンドルを切った分だけ、ノーズが軽快に曲がっていく感覚は、普段ミニバンに乗り慣れたドライバーにとって非常に新鮮に映る。そして路面の状態に左右されにくい車体の安定感は、後方シートに座ってみると実感できる。　きびきびとした走りが可能になったのは、ボディー剛性と空力性能を高めたためだ。アンダーフロアの前後に補強材を装着、ドア周りの溶接ポイントを増やした。また、車高を低くすると、乗り心地を維持するため足回りは硬めに設定するのが普通だが、同乗者にとって路面の衝撃が伝わりやすい分、車酔いしやすくなる。そこでＧ’ｓは、ショックアブソーバーの衝撃吸収力を高めるため、豊田章男社長の肝いりでトヨタ社内の車好きを集めた「ＧＡＺＯＯ　Ｒａｃｉｎｇ」のテストドライバーたちにより、サスペンションが特別にチューニングされた。運転者も家族もストレスを感じない走りを目指した。　Ｇ’ｓの「Ｇ」の文字は、トヨタにとって「２０００ＧＴ」「セリカＧＴ－ＦＯＵＲ」といった一連のスポーツモデルに冠せられてきた称号。新ブランドへのトヨタの意気込みが感じられる。　６月３０日の発売後、ヴォクシーとノアのＧ’ｓバージョンは先週末までに約７００台が売れた。十分な手ごたえをトヨタは感じているようだ。購入者は３０歳代の男性が多いという。　気になる今後のＧ’ｓシリーズのラインナップだが、トヨタは明言を避けている。ただ、今年１月の東京オートサロンにトヨタはヴォクシー、ノア以外にマークＸ、プリ...