首都高速の３号渋谷線と４号新宿線を結ぶ中央環状線の地下トンネル（４．３キロ）が２８日、開通する。東は東京都江戸川区から西は目黒区まで、都心を迂回（うかい）する新ルートが完成し、首都高速道路会社は首都高全体の渋滞が３割減ると見込む。だが、同社の借金残高は計５兆円にのぼる。渋滞回避の代償は、利用者が４０年先まで担うことになる。　新たな開通区間は山手通りの地下４０メートルを走る。２００７年末に開通した５号池袋線と４号新宿線を結ぶ山手トンネルの延伸部分だ。開通は２８日午後４時の予定。　これまで東名高速から常磐道や東北道に向かう場合、都心環状線を使わないと抜けられなかった。このため、都心環状線には仕事や通勤で都心に向かう車と、名古屋方面から北関東や東北方面を目指す運送トラックなどが集中し、慢性的に渋滞。この結果、利用者がロスする総時間は１日当たり６万時間と全国最悪になり、「首都低速」と皮肉られてきた。　渋滞解消の特効策として着工から２０年かけて整備されてきたのが今回の新ルートだ。都心環状線を利用する車は６割が「通過するだけ」といい、今後は首都高の渋滞が３割減らせるとの見込みだ。　新ルートを使った場合の平日午前１１時台の試算では、東名高速の用賀ＩＣから東北道へは４０分（従来は５８分）、常磐道へは５０分（同６５分）に短縮。さいたま新都心から六本木へも１０分短縮される。　目玉の一つは大橋ジャンクション（ＪＣＴ）だ。東名高速につながる３号渋谷線と、中央環状線がここで接続する。古代ローマのコロッセオのような外観。高低差７０メートルの高架道路と地下トンネルを限られた敷地でつなぐため、４００メートルのループを２回転する。乗り継ぎ先を間違えないように、路面が青や赤に色分けされている。　　　　◇　今回の開通区間には約６千億円が投じられた。山手トンネルは、さらに品川方面へと延伸中で、１３年度には湾岸線大井ＪＣＴまでの９．４キロ区間が開通する予定だ。事業費４千億円は首都高と東京都とが折半する。完成すれば池袋、新宿、渋谷、目黒、品川の１８．２キロが山手トンネルでつながるが、総事業費は１．４兆円に上る。　首都高会社の負債は約５兆円。毎年、２５００億円前後の料金収入から１千億円前後を返済に充てる計画だが、返済終了は４０年後の５０年度の予定だ。老朽化で改修が必要になる橋脚や道路も抱える同社は、当...