44年ぶりの女子オートレーサーを目指す、佐藤摩弥さん(18)の過酷な養成所生活が始まりました。オートレース界で、44年ぶりとなる女子選手を目指す佐藤摩弥さん。小学生からモトクロスに打ち込んできた経験を生かし、2010年夏、50倍の狭き門をくぐり、候補生試験に合格した。摩弥さんは「『男性にも負けない』っていう気持ちがあれば、いけるかなぁって」と話した。養成所では、男子は丸刈りで、今回、女子は入所までに「短髪にしろ」との指示だけだったが、摩弥さんは、自慢の髪に迷いもなくバリカンを入れた。「女性であることを言い訳にしたくない」と、気合の丸刈りで男社会へ飛び込む。摩弥さんは「いやぁ、なんか大阪のおばちゃんみたいになってますね」と話した。携帯の持ち込みすら許されない、茨城・下妻市のオートレース選手養成所での生活。入所当日は、父親と固い握手を交わして、しばしの別れを告げると、9カ月の厳しい訓練のスタートとなった。オートレース選手養成所の井上芳雄所長は「きょうから、お前たちは、とりあえず選手候補生として扱う。ただし、合わないと思えば帰す」と話した。生活は2人相部屋で、ルームメートは、もう1人の女子候補生・坂井宏朱(ひろみ)さん(26)。坂井さんは「18歳の女子高生の子って聞いた時は、最初はどうしようって思ったんですけど、すごくしっかりしていますし」と話した。摩弥さんは「お姉さんって感じで、結構、頼りにさせてもらうと思います」と話した。食事1つとっても、これまでとはかけ離れた生活で、会話もなく、ひたすらエネルギーを補充するだけ。しかも、時間はわずかに10分で、早く食べるのに慣れていない摩弥さんは、気がつけば食べているのは自分1人となっていた。女性のペースに合わせ、食べ終わるのを待ってはくれない。半分以上残した食事を片づけながら、悔しさに唇をかみ締めた摩弥さんは、「しょうがないです」と話した。親元を離れ、最初の夜は、こうして更けていった。起きている時間のすべてをオートレースにささげる生活。自分が乗るバイクの整備は、もちろん自分で行う。さらに、男子と同じ訓練メニューを行うために、居残りで筋力アップのトレーニングにも励む。そして、成果が試されるエンジン始動訓練の日が来た。オートレースのバイクは、スイッチ1つでエンジンがかかるわけではない。100kgを超す「鉄の塊」を押し、その勢いでエンジンを始動させる。重さにふら...