消費税論議が注目される中、国民から聞こえてくるさまざまな声。今なぜ消費税増税が持ち上がってきているのか。東京大学大学院の伊藤元重教授に話を聞きました。(日本は諸外国と比べて、低負担・中福祉ということで、税金などの負担が比較的低い。その一方で、社会福祉に関しては中レベル。この中レベルの福祉を維持するためには、低負担の税金ではちょっと足りない、やはり増税というのが1つの選択肢になってくるが、いろいろな税金がある中で、なぜ消費税だけが注目されるのか?)消費税ってやっぱり非常に優れた特徴を持っていて、今、世界中の国が消費税を上げてこれに頼ろうとしている、それには理由があるんですよ。そのいわゆる優れた点というのは、フラットということなんです。(平らという意味?)そうですね。もともとは平らという意味なんですけど、2つの意味を込めてフラットと申し上げました。1つはやっぱり全員参加。全員だと。つまりお子さんでも、おじいちゃん、おばあちゃんでも買い物すれば、消費税を払わなければいけないと。国民が全員が税金を払うという形になりやすいということですね。それからもう1つは、安定ということなんですけども、景気が悪くなったり、よくなったりしたときに、税収があんまり大きく揺れるっていうのは非常によくないことで、消費税というのは非常にその税収が安定しているという特徴があります。(過去10年の所得税と法人税の収入の変化をグラフで示すと、所得税と法人税は、毎年変動していて、2007年のサブプライムローン問題。さらに2008年のリーマンショックなどの影響で、特に法人税はここ2〜3年で、14兆円から6兆円と収入が半分以下にまで落ち込んでいるのがわかる。一方で消費税はというと、多少の落ち込みはあるが、ほぼ一直線になっている。所得税や法人税と比べて、景気に左右されにくいということがわかる。普通に考えて、景気が悪くなると、買い物を控える人というのは増えると思うが、どうして消費税は安定しているのか?)おっしゃるとおりなんですけど、ただ消費税っていうと、消費に税金かかるというふうにどうも誤解されがちなんですね。レストランでハンバーグを食べると消費税払いますよね。ところが実際には、消費税というよりも海外では付加価値税といわれてるんですけど、ずっと上のほうまで全部かかってくるんですね。だから、レストランにお肉を卸す精肉業者さんも取り引き...