昨年１２月に亡くなった日本画家の平山郁夫さんが、人知れず残していた俳句が見つかり、長女で詩人の平山弥生（やよい）さん（５０）が７日、奈良県立万葉文化館（奈良県明日香村）で開かれたシンポジウムで初めて披露した。 　弥生さんによると、２月、神奈川県鎌倉市の平山さんの自宅アトリエで遺品の整理中に、机の横のゴミ箱や引き出しなどから見つけた。原稿用紙のほか送られてきたファクス用紙の裏など、５、６枚に鉛筆で書かれており、推敲（すいこう）の跡もある。遺族らが平山さん自筆の句と判断した。　これまでに２０句ほど見つかり、メモされた数字から２００３年の作と推測される。全体に春の季題が多い。うち８月に詠まれたとみられる４句を弥生さんが披露した。　弥生さんは「父が俳句をつくっていたとはまったく知らなかった。詠んではみたけれど恥ずかしくてしまっておいたのか」と話す。同文化館の中西進館長も「私も知らなかった。ふくいくたる絵心を感じさせる句だ。絵も俳句にも優れた平山先生は現代の与謝蕪村のような人だった」と、意外な一面に驚いていた。（河合真美江）　　　　　◇〈平山郁夫さん自筆の句〉　草萌ゆる土鳩（どばと）のつがい羽ひろげ〈庭うずくまる〉　春風に花びら散って色模様　春風に花びら描く錦織　春爛漫（らんまん）鶯（うぐいす）の声庭響く〈〉の中は推敲の跡とみられる。