辞任を表明するとの見方が伝えられていた日本相撲協会の武蔵川理事長は5日、記者会見で続投を表明した。辞任と続投の間に働く相撲界の力学。6日から始まる夏巡業で、相撲協会はさっそく生まれ変わる本気度を問われる。力士たちは、6日からの夏巡業を前に子どもたちや老人のもとを訪問し、笑顔を見せた。そして、野球賭博問題で謹慎中だった力士9人も復帰した。謹慎が解けた豊響は、「(巡業で)反省とか、そういう姿を見せられるいいきっかけ、いい機会なんで」と話した。謹慎が解けた豊ノ島は、「ファンの方々に喜んでもらえるような巡業にしたいと思っています」と語った。横綱・白鵬は、「これで全員がそろったって感じで、まあ、いろいろありましたから」と話した。みそぎの夏巡業で再起を図る力士たち。こうした中、両国国技館では、武蔵川理事長の復帰で激震が走った。武蔵川理事長は「きょう5日をもちまして、理事長に復帰をさせていただきました」と語った。当初、体調不良を理由に、周囲に辞意を漏らしていた武蔵川理事長は、会見で胃がんの手術をしたことを公表しながらも、一転、続投を表明した。北の湖前理事長は「大変ですけども、がんばっていただきたいと思います」と話した。大山親方は、「理事長が代わるっていうことよりも、みんなが変わらなきゃいけないですよね」と語った。4日、文部科学省は、武蔵川理事長続投に難色を示していた。復帰表明に、川端文科相は「文科省は何度も言っていますように、自立的に自覚を持って、しっかりとやってくださいということを言っているわけですから」と述べた。就任以来、暴力団関係者の維持員席問題、野球賭博問題など、前代未聞の不祥事を抱えていた武蔵川理事長の急転直下の続投劇、その背景にあるものは。実は、5日の臨時理事会を前に、若い親方たちが有志で国技館に集まっていたという。そして、春日山親方が代表して、武蔵川理事長に対し、「みんなが心配しています」と、残留をお願いしていたことがわかった。東京相撲記者クラブ会友・大見信昭氏は、「まわし組といわれている元力士経験者の理事たちが、協会改革をやるなら内部の力で、という思いが非常に強いんですね」と話した。一方、元日本相撲協会外部委員のやくみつる氏は、「理事長を辞任してしまうと、文科省の意向もあって、外部理事長をいただかざるを得ない状態になると。外部に渡してしまうと、自分たちも不都合が及...