菅首相に対する内閣不信任決議案について、自民・公明両党は、早ければ今週後半にも衆議院に提出する方向で調整を続けている。不信任案提出時の焦点は、民主党内からの造反者の数で、水面下の駆け引きが、さらに緊迫化している。内閣不信任案を可決するためには、過半数の240議席が必要になる。社民党が不信任案に対して賛成に回った場合は75人、社民党が賛成に回らない場合は、民主党などからも81人の造反者が出なければ通らないことになる。ここで注目されるのは、小沢元代表。一貫した反菅勢力として舌鋒(ぜっぽう)鋭い小沢グループの動向だが、この小沢氏のグループには、およそ90人が所属している。小沢グループの一部では、80人が造反すると吹聴する議員もいるが、全体の見方としては、造反に傾いている議員は50〜60人とみられ、このままでは否決の流れになるとみられる。そして、30日夕方、小沢元代表と鳩山前首相が会談を行った。不信任案への対応を協議したものとみられる。小沢氏の側近は、鳩山氏も賛成することに自信を見せている。ただ、民主党内の状況について、造反予備軍の議員にとっては、2つの「重し」がのしかかっている。1つは、30日に仙谷官房副長官が、記者会見で「被災者にいかに思われるかが重要だ」と述べたように、震災・原発対応のさなかに首相を代えることへの抵抗感で、小沢氏に近いある議員も、「大義がない」と弱音を漏らしている。また、30日の役員会でも、賛成や欠席には厳正に対処する方針が確認されていて、除名処分は避けたいとの議員心理も、造反をちゅうちょさせているもよう。ただ、党内の中間派議員は、国会の延長を強く求めていて、菅首相がこれらの要求にゼロ回答だと、造反議員がさらに増える可能性もある。