宮城名物のかりんとうが、縁あって鳥取県で復活を目指すことになりました。阿部雄悦さん(70)は「掘り起こした時ね、本当にあたり構わずね、泣いてしまいましたけど。きょうは泣きません」と話した。阿部さんは、宮城・女川町で20年以上かりんとう作りをしていたが、東日本大震災で、工場が津波で流されてしまった。今も、スタッフ2人が行方不明となっている。阿部さんが製造していたかりんとうは、全国で150以上の取引があった。その取引先の1つ、鳥取・伯耆(ほうき)町に身を寄せることになった阿部さんのもとに届いたのは、大型トラック。中から出てきたのは、津波に流されたかりんとうのミキサーだった。阿部さんは「おかえり...。このミキサーは、わたしの戦友ですから。やっぱり、どんなに金かけても、それはね、なんとか生かしてもらいたいという」と話した。これは、かりんとう作りの、いわば心臓部で、修理に1カ月以上かかった。修理をした人は「いくらゼロからスタートっていってもね、何かがないとね。その2台が生きてるというのと、社長もいてっていうのが、一番でかいんじゃないのかなって、わたし思ってます。実際行ってみると、半分埋まってましたからね」と話した。震災を乗り越え、再び命を吹き込まれたミキサー。復興の思いをかりんとうに込め、新たな挑戦が始まる。