菅首相は14日、野田財務相に対して、被災者の二重ローン対策などを柱とする小規模な補正予算案の編成を指示した。本格的な2次補正には至らない「1.5次補正」というやり方に、野党は延命と批判を強めている。14日夜、菅首相は、官邸に野田財務相を呼び、被災者の二重ローンの軽減や、原発事故の賠償関連費用などを盛り込んだ第2次補正予算案の編成をあらためて指示した。野田財務相は「(菅首相から)7月中のできるだけ早い時期に、国会に提出するようにというご指示があったということで」と述べた。そして菅首相は、この2次補正を「1.5次補正」と呼んだ。菅首相は「できれば7月中にも、1.5次補正とでも呼べるような」などと述べた。菅首相が言う1.5次補正は、1次補正では盛り込みきれなかった緊急性の高い対策などで、小幅にとどまる見通し。野田財務相は「(確認ですけど、2次補正ということでいいんですよね?)2回目の補正ですから、2次補正だと思います」と述べた。菅首相が2次補正予算を編成することは認められないとしてきた野党。月内退陣論封じとも見える菅首相の1.5次補正について、自民党の石破政調会長は「実に不愉快。そんなものを延命の道具に使うなと」と述べた。そして、公明党の山口代表も「菅政権の延命というにおいが加わるのであれば、なおさら、これは混迷をもたらすものだと」と述べた。菅首相の1.5次補正予算案の編成指示を受け、民主党執行部は自民党に対し、6月22日までの国会会期の大幅延長を打診した。100日程度の大幅延長を検討する民主党だが、自民党は、延命のための会期延長には応じない方針を決めた。こうした中、自民党の石原幹事長からある発言が飛び出した。自民党の石原幹事長は「あれだけ大きなアクシデントがあったわけですから、集団ヒステリー状態になる、わかります、それは心情としては」などと述べた。イタリアの国民投票での脱原発の判断が下されたことを受けての発言だった。しかし、福島県民からは「軽はずみじゃないですか、ずいぶん」、「段ボールで仕切って、そういう生活を本当に1カ月、2カ月やってから、じゃあそういうことを言えるんですか? あなたはって言ってやりたいです」といった声が聞かれた。波紋を呼びそうな集団ヒステリー発言。被災地の混迷をよそに、永田町は混迷の度を深めている。