埼玉県秩父市で２５日、山岳遭難者の救助中に同県の防災ヘリコプター「あらかわ１」が墜落、機長ら５人が死亡した事故で、無事だった県防災航空隊員ら２人がワイヤで降下する際、機内から異常を知らせる無線連絡がなかったことが分かった。県などは何らかの異常が、一瞬のうちに発生したと見ている。国の運輸安全委員会の調査官３人も２６日朝、現地に入り、調査を始めた。　県防災航空隊によると、事故直前に救助地点付近の上空で、いったん停止（ホバリング）して降下が可能かどうか最終確認した際は、機体の異常は確認されなかった。その後、２人が向き合うような形で一緒に約３０メートル降下し、着地寸前でがくっと落ちたという。　隊員が降下する際は携帯型の無線機を持ち、何らかの異常があれば連絡をとることになっている。通常、約３０メートルの降下に要する時間は１分程度だが、交信することなく機体は墜落したという。　運輸安全委の調査官３人は県警から事故状況の報告を受けた後、ヘリで上空から現場を確認した。調査官の一人は「何とも言えないが、事故の痕跡を確かめたい」と語った。