宮本亜門の演出で３年ぶりに再演されるブロードウェーミュージカル「スウィーニー・トッド」の稽古が１８日、都内で公開された。主演は市村正親と大竹しのぶ。１８世紀末のロンドンに実在したといわれる理髪師スウィーニー・トッドの残酷で痛快な復讐劇だ。　ブロードウェーミュージカルの巨匠、スティーブン・ソンドハイムの「スウィーニー・トッド」は日本では２００７年以来の再演。 　市村演じるスウィーニー・トッドは、無実の罪で流刑になった男。脱出に成功したスウィーニーは、水夫のアンソニー（田代万里生）という青年に助けられてロンドンに帰ってくる。しかし、妻と娘を判事に奪われたことを知り、パイ屋を営む昔なじみのラヴェット夫人（大竹しのぶ）とともに商売道具のカミソリで復讐を目指すことになる……。 　「見どころはトッドの情熱」という大竹は、スウィーニーに少しずつ惹かれていく役どころだ。大竹が演じるラヴェットに恋するトバイアスを武田真治、トッドの娘ジョアンナをソニンが演じる。 　公開稽古ではオープニングの三分間が披露された。市村は、群集の中心で力強い歌声を披露し、情熱的なトッドの存在感をアピールした。自分の中にも誰かに復讐したい気持ちはあるか、という質問に市村は「そんなにない。帰ったら子どもと遊んでダラーッとするし、そんなに情熱的でもないかもしれません」とあくまで控えめだった。 　演出の宮本は東日本大震災に触れる中で「この舞台を通して生きている実感、エネルギーを届けたい。ミュージカルの歌やダンスは、そういうことに適していると思う。生きていることのすごさをこんなに実感できるときってほかにないですよ」と語り、この時期にミュージカルを上演する決意を新たにした。 　ミュージカル「スウィーニー・トッド」は青山劇場で５月１４日から６月５日まで、チケットは現在発売中。大阪、広島、長崎、名古屋、横浜公演もある。（アサヒ・コム編集部）