バンクーバーオリンピックの注目の日本選手をシリーズでお伝えします。スピードスケートで、初の中学生オリンピック代表の高木美帆選手(15)。驚異的な成長を見せる高木選手の強さの秘密を取材しました。北海道・帯広市で1月9日から行われたスピードスケートのアジア距離別選手権で、観客のお目当ては、北海道・幕別町の札内中学校3年生の高木美帆選手。高木選手は、オリンピック出場種目の女子1,000メートルで優勝した。タイムは、1分17秒87で、このリンクでの自己記録を一気に4秒も更新した。高木選手は「表彰台よりも、タイムが結構出たのがうれしかったです」と語った。3人きょうだいの末っ子の高木選手は5歳ごろ、兄と姉の影響を受けスケートを始めた。2009年12月に長野で行われたオリンピック代表選考会では、その才能を一気に開花させ、出場3種目で表彰台に立った。中でも、女子1,500メートルでは、国内最高記録に0秒17差まで迫る堂々の優勝だった。スピードスケート史上、最年少でのオリンピック代表が誕生した。高木選手は「全然実感がわかないです」と語った。彗星(すいせい)のごとく現れた高木選手の急成長の裏には、ある秘密が隠されていた。小学1年から習っているヒップホップダンスは、プロ級の腕前。サッカー選手としても2009年、全国選抜の強化合宿に招聘(しょうへい)された「なでしこジャパン」候補。小学校6年生の時には、地元の陸上大会で800メートルの十勝管内の小学生新記録を樹立した。さまざまなスポーツを経験することで、どんな動きにも対応できる俊敏で柔軟な肉体がつくられたという。桜井 知克士コーチは「わたしたちが教えている中学生は、できるだけ夏は、学校の部活動で、何でもいいからやりなさいという話をしている。(高木選手の場合)サッカーあたりは、特にいろんな動きをするので、そういう中で培われるものっていうのが、きっと大きいだろう」と語った。今や、高木選手は全国から注目を集める「時の人」で、16日に地元で開かれた壮行会には900人が集まり、同じ幕別町出身で北京オリンピック・陸上女子100メートルに出場した福島千里選手(21)も駆けつけた。壮行会で高木選手は「自分らしく、精いっぱい滑り切ってきたいと思います」と抱負を語った。「美帆ちゃん」と呼ぶ方がしっくりくるほど、愛くるしい笑顔を見せる15歳。進化するスーパー中学生が、バンクーバーで世界の頂点を目指す。