バンクーバーオリンピック開幕までひと月余り。スピードスケート・ショートトラック、日本女子のエース・桜井美馬(びば)選手(20)が、その名の通り鮮やかにリンクを駆け、メダルを狙う。約束の地を目指す聖なる炎、聖火リレーはカナダの中央部の街、ウィンペグを通過し、太平洋に面したバンクーバーへとまた一歩近づいた。桜井選手は「オリンピックの1カ月前ということもあって、今しか追い込めない時期だと思うので、(練習は)ラストスパートの追い込みって感じですね」と話した。圧倒的な強さで選考会を制した桜井選手は、一瞬の差し足で一団を抜き去るのが持ち味。「美馬」と命名したのは、馬好きな祖父の徳三郎さん。「リンクを駆ける『美』しき『馬』」、この名前に桜井選手は「名前がイタリア語で万歳という意味なので、名前に負けないように頑張りたいと思います」と話した。頂点へ駆け登るために、2009年から上半身をパワーアップし、強化した全身を使う滑りはさらに鋭さを増した。そして5本指靴下を履き、指先の神経にも磨きをかけている。桜井選手は「(五輪の)ゴール後は笑顔で終われるように、美馬スマイルが出ればいいと思います」と話した。初めてのオリンピックに挑む20歳の日本のエースがバンクーバーのリンクを鮮やかに駆け抜ける日は、もうすぐそこまで迫っている。